2014年5月16日金曜日

ジャムパンマン「ジャムおじさん!パトロールに行ってきます!」

1 名前:名無しさん@おーぷん[] 投稿日:2014/05/15(木)04:33:18 ID:Oyd1D8uaQ
ジャムおじさん「気を付けるのだよ、ジャムパンマン」

ジャムパンマン「はい!」

彼はジャムおじさんが初めて作った命あるパン。

そして、誰よりも心優しい正義のヒーロー。

ジャムパンマン「ほら、カバオ君、ジャムパンでよければお食べ」

カバオ「ありがとうジャムパンマン!」

ベースとなる身体がなく、顔の交換システムもなかった頃だった。

彼の全身はパンで出来ていた。

定期的に核となるジャムの中にあるイチゴを取り出し、新たに煮詰めて作ったジャムをパンに込める。

そうして彼は脆い身体を愛と勇気でカバーしてはパトロールへ繰り出す。

盾にもならない身を呈して弱きを守り、傷付ける事も出来ないその手で強きを抱き締め許す。

おなかを空かせた子には自らの身体を分け与える。

純粋な善意、見返りを求めない自己犠牲。

そのジャムパンは、とても優しく、温かく、母のように柔らかで、甘く。

美味しいと評判のジャムパンだった。
4 名前:名無しさん@おーぷん[] 投稿日:2014/05/15(木)04:52:48 ID:Oyd1D8uaQ
カバオ「助けてー!ジャムパンマーン!」

その声が途切れる前に、彼は駆け付ける。

ジャムパンマン「カバオ君、どうしたんだい?」

カバオ「ウサ子ちゃんが、ウサ子ちゃんが攫われちゃったんだ!」

ジャムパンマン「僕が必ず助けるからね、どっちにいったのかな?」

カバオは泣きじゃくりながら鬱蒼と生い茂る森を指差した。

その時ジャムパンマンの頬にポツリと一滴の雨が染み込んだ。

ジャムパンマン(雨……!急がないと、でも森の中ならまだ濡れずに済みそうだ!)

脱兎の如く走り出す、カバオの声も聞こえない程遠くまで。

ジャムパンマン「ウサ子ちゃーん!いるのなら返事をしておくれー!」

ジャムパンマン「ウサ子ちゃーん!」

ジャムパンマン「いないのか、それとも話せない状況なのか……」

ジャムパンマン「どんな小さな事も見逃さないように慎重に進もう」

雨は強さを増し、蓄え切れず葉は雨水を滴らせる。

ジャムパンマン「急がないと、身体が持たない!」

その時遠くに人影が見える、その人影の近くにはふたつの白い耳が揺れていた。

ジャムパンマン「見付けた!」

ふやけて脆いくなった身体に鞭を打ち、追い掛ける。

ジャムパンマン「そこまでだホラーマン!」

ホラーマン「怖いですねぇ、恐ろしいですねぇ、早いですねぇジャムパンマン!」

ジャムパンマン「ウサ子ちゃんを離すんだ!」

ホラーマン「危ないですねぇ!」

雨に脆くなったのはジャムパンマンだけではなかった、柔らかな腐葉土も、彼の足元も、その崖も。
5 名前:名無しさん@おーぷん[] 投稿日:2014/05/15(木)04:56:05 ID:QjaaaBxSG
続いてたーwwwwww気になるよう気になるようジャムパンマン死亡フラグやーん
6 名前:名無しさん@おーぷん[] 投稿日:2014/05/15(木)05:00:14 ID:Oyd1D8uaQ
なんとか木の根を掴むも、ふやけたパンに耐えられる強度などあるはずもなく。虚しくもジャムパンマンは深く、暗い谷底へ。



ジャムパンマン「……ぐっ……」

ジャムパンマン「ウサ子、ちゃん……助け、なくちゃ……」

身体は言う事を聞かない。

それもそのはず、右手は千切れ、身体も至る所が破れ、その真っ赤なジャムを飛び散らせていた。

ジャムパンマン「あっ……」

雨は容赦無く降り注ぐ。



どれ程の時間が経ったのだろうか、気付けば雨は止んでいた。

しかし相変わらず身体は動かない。

ジャムパンマン「ウサ子ちゃん、ごめんよ……カバオ君、約束を守れなかったよ……」

ジャムパンマン「ジャムおじさん、もう駄目なのでしょうか……バタ子さん、チーズ……」

ジャムパンマン「ああ、みんなに会いたいです……」
7 名前:名無しさん@おーぷん[] 投稿日:2014/05/15(木)05:11:43 ID:Oyd1D8uaQ
彼が見上げるその狭く小さな空に、何度太陽と月が登ったか数える事も辞めた頃。

違和感。

ジャムパンマン「身体が……動く……?」

千切れた右手も、破れた身体も、歪ではあるが、繋がっていた。

叫んでいたせいで声も枯れてしまったが、そんな事はどうでもよかった。

またみんなに会える、それだけでよかった。



谷底を歩いて進み、倒れていた時間に届こうかと言う程の長い時間、まともに動かない身体を引きずる様に、少しずつ、でも確かに、進んだ。



しかし彼を待ち受けていたのは再会を喜ぶ歓喜の声ではなく、嫌悪の視線と罵声だった。
9 名前:名無しさん@おーぷん[] 投稿日:2014/05/15(木)05:18:57 ID:Oyd1D8uaQ
「あっちへいけ!」「怖いよママー!」「こっちにこないで!」「なんだあいつ気持ち悪い!」「やだー!汚ーい!」「うえー!」「ばっちー!」

ジャムパンマン(なんで……どうして……)

ジャムパンマン(そうだ!ジャムおじさんに治してもらおう!)



パン工場のドアが開かれた。

ジャムおじさん「はいはい、どちらさまかな、パンはもうすぐ……!」

バタ子「ひっ」

ジャムおじさん「だっ駄目だよ、ここは食べ物を作る所なんだ、すまないがそんな格好は困るんだ」

ジャムパンマン「……ジャム、おじさん……」

チーズ「……くーん……あんっあんっ!」

ジャムおじさん「なんだって?」



ジャムおじさん「君は、ジャムパンマン、なのかい?」
10 名前:名無しさん@おーぷん[] 投稿日:2014/05/15(木)05:24:11 ID:Oyd1D8uaQ
ジャムパンマン「ただいま、ジャムおじさん……」



ジャムおじさん「そうか、そんな事が……いや、ウサ子ちゃんなら心配いらないよ」

バタ子「そうなの、カバオ君の勘違いだったみたい」

チーズ「あんあんっ!あんっ!」

ジャムパンマン「ホラーマンと、お母さんの、為に、薬草を、探して、いた……」

ジャムパンマン「なんだ、よかった……後でホラーマンに謝らないといけませんね……」

ジャムおじさん「それは治してからだね、ほらほらそこに横になって」



時間が経ちすぎていた。
11 名前:名無しさん@おーぷん[] 投稿日:2014/05/15(木)05:28:52 ID:Oyd1D8uaQ
ジャムパンマン「治せ、ない……?」

ジャムおじさん「すまない、君の魂とも言える正義のイチゴが……その、腐って、しまっているんだよ……」

ジャムパンマン「そんな、じゃあ……僕は、もう……」

ジャムおじさん「すまないジャムパンマン、すまない……力になれず……」

ジャムパンマン「ジャムおじさんのせいじゃ、ありません、よ……」

力ない足取りでフラフラとドアへ向かう。

バタ子「ジャムパンマン!そんな身体でどこへゆくの!」

答えない。

チーズ「……くーん……」



工場を後にして、山へと向かうジャムパンマンの背中に、カバオが叫んだ。

「やーい!バイキーン!」
12 名前:名無しさん@おーぷん[] 投稿日:2014/05/15(木)05:35:17 ID:Oyd1D8uaQ
廃墟となった古城で一人佇むジャムパンマン、彼はずっとそこに座り続けていた。窓もなく、暗く湿った部屋で。

歪に繋げられた身体は、皮肉にも食品の大敵、カビだった。そのカビが全身を覆い、漆黒に染まった頃。

彼は、絶望していた。

見返りなんて求めなかった、だからといって、罵声を受ける謂れなんてなかった。

しかし、それでも誰かと繋がっていたいと、願った。



彼は自分の胸にフォークを突き刺した。
13 名前:名無しさん@おーぷん[] 投稿日:2014/05/15(木)05:39:11 ID:Z2juIuCNI
バイキンマンの誕生だ
14 名前:名無しさん@おーぷん[] 投稿日:2014/05/15(木)05:44:18 ID:Oyd1D8uaQ
その胸から取り出されたのは正義のイチゴ、腐ってしまった正義のイチゴ。白カビが生えている。それを握り締めて流れ星に祈った。

話し相手が欲しいと。



願いは叶えられた。

赤い身体に白い顔、イチゴと白カビ。

自分の心臓だったそれに由来して、ドキンと名付けた。

しかしそれはまだ産まれたばかりの赤ん坊のようなもので、身の回りの世話から言葉を教えるまで全て彼ひとりで頑張っていた。

それはとても忙しかったが、彼の顔は、歪んではいても、とても幸せそうに笑っていた。



ドキン「つまんないつまんなーい!お出掛けしたーい!こんな暗い所やだー!」

ジャムパンマン「駄目だよ、外は怖い人がたくさんいるんだ」

ドキン「ぶー!」

ドキン「……ねえ、なんであなたはジャムパンマンなの?」

ドキン「私、勉強したから知ってるわ、あなたはどこからどうみてもジャムパンなんかじゃないわよ」

「……そうだね……」



「じゃあ、カビにまみれているから、僕の事はバイキンマンとでも呼んだらどうかな」
15 名前:名無しさん@おーぷん[] 投稿日:2014/05/15(木)05:55:26 ID:Oyd1D8uaQ
ドキン「あら!いいわね!ふふ!」

ドキン「バイキンマーン!」

バイキンマン「なんだい、ドキンちゃん」

ドキン「呼んでみたの!」



雨季。

締め切られた古城にカビが繁殖する、バイキンマンの身体はどんどん大きくなる。

ドキン「バイキンマン、そんなに大きくなったらこの部屋から出られないわよ」

バイキンマン「うーん、どうしたらいいかな……」

その時、腐敗ガスが溜まって身体が弾けた。

ドキン「きゃっ」

バイキンマン「うわっ」

バイキンマンは小さく、元通りになった。しかし飛び散った身体にも新たな命が宿っていた。

「ルンルン♪」

ドキン「なにこれ!変なの!」

バイキンマン「ははは、可愛いじゃないか」

ドキン「うげー、変な趣味ー」

バイキンマン「そうだ、これはカビルンルンと名付けよう」

「ルンルーン♪」



彼は、少しだけ、希望を取り戻していた。こんな小さな世界だけれど、こんなにも幸せなんだと。

そして、それをジャムおじさんに伝えたいとも思った。
16 名前:名無しさん@おーぷん[] 投稿日:2014/05/15(木)06:04:21 ID:Oyd1D8uaQ
バイキンマン「……ドキンちゃん、少し、出掛けてくるよ……」

ドキン「ズルイ!私も行く!」

バイキンマン「駄目だよ、外は駄目なんだ、駄目なんだよ……」

ドキン「じゃあどうしてバイキンマンは行くのよ!そんなに危ないならバイキンマンも行っちゃ駄目よ!」

バイキンマン「わかった、わかったよ……」

バイキンマン「でも、これだけは約束して、僕から絶対に離れちゃ駄目だよ」

ドキン「やったー!するする約束する!やったー!」

バイキンマン「はあ……」

ドキン「おっ出掛け、おっ出掛け~♪」



変装したふたりが城を出る。

ドキンちゃんは初めて踏み締める大地に喜び、跳ねるように歩く。

初めてみる景色に感動し、全てを見るように忙しなく頭を左右へ回す。

バイキンマン「足を挫くよ、首を痛めるよ」

彼は心配そうに見守る、それでもなんだか嬉しそうだ。



懐かしい工場が見えてきた。
17 名前:名無しさん@おーぷん[] 投稿日:2014/05/15(木)06:12:10 ID:Oyd1D8uaQ
ドアから出てくるジャムおじさんとバタ子さん、チーズが裏から駆け寄ってくる。

バイキンマンは言いようのない高揚感に、どうしたらいいのかわからず、落ち着かない様子で手を動かす。ドキンちゃんがそれを見て笑った。

もう声も届こうかという距離。

バイキンマン「ジャムおじーー」



アンパンマン「ただいまパトロールから戻りました!」

カレーパンマン「街に異常はなかったぜー!」

食パンマン「みんな笑顔でなによりです!」



あるはずのない、自分の居場所が奪われた気がした。



ジャムおじさん「ん、今声が聞こえたような……?」



バイキンマン「僕は……俺は……俺様は……」

バイキンマン「バイキンマンだ!」
18 名前:名無しさん@おーぷん[] 投稿日:2014/05/15(木)06:13:13 ID:Z2juIuCNI
悲しい
19 名前:名無しさん@おーぷん[] 投稿日:2014/05/15(木)06:22:02 ID:Oyd1D8uaQ
アンパンマン「やあ!よろしく!僕はアンパンマン!」

カレーパンマン「俺はカレーパンマン、よろしくな」

食パンマン「僕は食パンマン、よろしくね」

バイキンマン「うるさいうるさーい!馴れ馴れしく触るな!」

ジャムおじさん「こら、そんな失礼な事を言ってはいけないよ」

バイキンマン「パンなんかなんだい!正義の味方気取りなんかしちゃって!かっこつけてんじゃねー!」

カレーパンマン「なんだとー!」

食パンマン「やめたまえカレーパンマン!」

アンパンマン「どうして君はそんな事を言うんだい、僕が何かしたのなら謝るよ」

バイキンマン「へん!そのあんこみたいに甘ったるい口調と鼻につく正義感が気に食わないんだよ!」

食パンマン「落ち着いて下さい、彼にも何かパンに嫌な思い出があるのかもしれません、ですからーー」

ドキン「食パンマン、様……」



彼女は、元々はジャム。

その性質からか、食パンマンに恋をしてしまった。



バイキンマン「………………ドキン、ちゃん……?」
20 名前:名無しさん@おーぷん[] 投稿日:2014/05/15(木)06:23:18 ID:K2pF1mj14
かばおくん沈めてくるわ
21 名前:名無しさん@おーぷん[] 投稿日:2014/05/15(木)06:31:17 ID:Oyd1D8uaQ
ドキン「食パンマン様ー??」

食パンマン「わっどうしたんだい、好かれるのは嬉しいけれど、君はちょっと、積極的過ぎるかな」

ドキン「食パンマン様、食パンマン様ー??」

バイキンマン「ドキンちゃん、ドキンちゃん、ドキンちゃん……」

バイキンマンの身体が脈打つように膨らむ、縮んだかと思うと、空を埋め尽くすようなカビルンルンが溢れ出した。

ジャムおじさん「なんだこれは!」

アンパンマン「うっ……カビで、力が、出ない……」

カレーパンマン「ふにゃ~」

食パンマン「これは一体……!」

バイキンマン「………………」

ドキン「嫌々!食パンマン様!死んじゃ駄目ー!」

ドキン「バイキンマン!なんて事するのよ!食パンマン様になにかあったらどうするつもりよ!」

バイキンマン「……てやる……」

ドキン「なによ!」

バイキンマン「……してやる……」

ドキン「はっきり言いなさいよ!」



バイキンマン「こんな世界ぶち壊してやる??????????」
22 名前:名無しさん@おーぷん[] 投稿日:2014/05/15(木)06:54:40 ID:Oyd1D8uaQ
ジャムおじさん「いけない!バタ子!早く予備の顔を焼かなければ!」

バタ子「もう焼いてるわ!もうすぐよ!もうすぐ焼き上がる!」

チーズ「あんあん!」



カビルンルンは増えるばかり、パンのヒーローは3人とも地面に倒れ込んでいる。

バイキンマンは自分の胸をえぐったフォークを取り出し、アンパンマンの頭に突き刺した。

アンパンマン「……やめ、るんだ……バイキンマン」

バイキンマン「こんな世界に、守る価値なんて、あるもんか」

バイキンマン「……見返りなんて求めず……どれ程尽くしたって……少し見た目が変わったくらいで……あんな仕打ち……」

バイキンマン「こんな世界!こんな畜生供!救う価値なんかあるか!あるもんか!なんで俺様を救ってくれなかった!」

バイキンマン「弱いものいじめをする奴こそ弱いんだ!いじめられたそいつらも弱いからいじめられるんだ!そしてそいつらもまた自分より弱いものをいじめる!それは弱いからだ!どこまでも続くんだ!もしそこでいじめをしない奴がいたとして!そいつになんの救いがあるって言うんだ!自己満足でしかないんだ!そいつがいじめなかった事で救われる奴なんかいない!結局他の誰かにいじめられるんだ!救いなんてあるか!」

ジャムおじさん「バイキン、マン……君は……もしかして……」

バイキンマン「うるさい!やめろ!おまえなんか嫌いだ!」

アンパンマン「バイキンマン……」



バタ子「焼き上がったわ!アンパンマン!新しい顔よ!」
23 名前:名無しさん@おーぷん[] 投稿日:2014/05/15(木)07:03:16 ID:Oyd1D8uaQ
バイキンマン「だから!俺様は!そのいちばん最初の弱い奴になるんだ!」

アンパンマンに新しい顔が届く、バイキンマンは古い顔に弾かれて転んでしまった。

アンパンマン「勇気百倍!」

アンパンマン「バイキンマン、君にどんな過去があったのか知らない、けれどどんな理由であれこの世界を壊す理由にはならない!」

アンパンマン「力づくでも止めさせてもらう!手加減はしない!いくぞ!」

アンパンマン「アーンパーンチ!」



あれから数日、彼はまたひとりで古城に寝転んでいた。

ドキンちゃんは帰ってこない、カビルンルンを出す気力もない。

またひとりぼっちだった。
24 名前:1◆dVhn6luLpM[] 投稿日:2014/05/15(木)07:05:55 ID:Oyd1D8uaQ
思い付きで書いてみたけれど、もう眠いです……
今日は休みなので起きたら続きを書きたいと思います、念の為酉付けますね……
すみません、それではおやすみなさい。
27 名前:名無しさん@おーぷん[] 投稿日:2014/05/15(木)07:58:22 ID:HyGYiBLRU
なんかワロタ
28 名前:名無しさん@おーぷん[] 投稿日:2014/05/15(木)08:47:37 ID:i6JKIdGZQ
落ちが気になる
29 名前:1◆dVhn6luLpM[] 投稿日:2014/05/15(木)13:19:30 ID:Oyd1D8uaQ
遅くなりました、再開します。
30 名前:1◆dVhn6luLpM[] 投稿日:2014/05/15(木)13:32:57 ID:Oyd1D8uaQ
唯一と言ってもいい、彼の話し相手だったドキンちゃんを失い、その正義のイチゴを取り出した時に付けた、胸の傷が痛んだ。



僕はなんの為に生まれたんだろう、何をして生きたらいいのだろ。

ドキンちゃん、何が君の幸せなんだろう、何をしたら喜んでくれるのだろう。

何もわからないまま、終わってしまうのだろうか。

そんなのは嫌だ。



そうだ、元々は愛と勇気だけが友達だったじゃないか。



ドキンちゃん「ただいま」
31 名前:1◆dVhn6luLpM[] 投稿日:2014/05/15(木)13:45:53 ID:Oyd1D8uaQ
彼は驚く気力すらもなく、声が聞こえた方を振り向いた。

バイキンマン「ドキン、ちゃん……?」

ドキン「なによ、私が帰ってきたら困るとでもいうの?」

バイキンマン「でも、君は……」

ドキン「私の家はここなんだから帰ってきたっていいじゃないの」

バイキンマン「……今までどこに……?」

ドキン「……振られたのよ、食パンマン様に……あの人は優しいからそんな直接的ではなかったけれど……」

バイキンマン「……」

ドキン「でも諦めたりしないわ、どんな手を使ったって彼を振り向かせてみせる」

バイキンマン「……それが、君の夢?」

ドキン「夢?」

ドキン「まあ、そう、夢……ね、そうよ、それが私の夢」

バイキンマン「……わかった、俺様がそれを叶えてあげる、それが俺様の夢だ、それこそが生きる喜びだ」

バイキンマン「例え、どんな敵が相手でも、俺様はドキンちゃんの為だけに生きる」

ドキン「……優しいのね」
34 名前:1◆dVhn6luLpM[] 投稿日:2014/05/15(木)14:19:55 ID:Oyd1D8uaQ
バイキンマン「ドキンちゃん、食パンマンさえいれば他のパン達はどうなってもいいかな?」

ドキン「ええ、彼が哀しんでしまうのは辛いけれど、私が慰めてあげるわ」

バイキンマン「わかった、僕がみんなやっつけてあげる」

バイキンマン「……でも、この身体は脆い、その為にも鎧を作らなければ……」

ドキン「なーに鎧なんてちゃっちい事言ってるのよ!ロボットよロボット!おっきなロボットで町をめちゃくちゃにしてやりましょう!」

バイキンマン「ロボット?」

バイキンマン「僕にそんな科学力なんて……」

ドキン「あら、カビルンルンを動力にしたらいいじゃない」

バイキンマン「作れるかな……」

ドキン「作るのよ、私の夢を叶えてくれるんでしょう?」

バイキンマン「……俺様、とんでもない約束しちゃったかな……」

ドキン「なんか言った?」

バイキンマン「いえいえなーんにも、さーてロボットでも作りましょうかねーっと」

ドキン「なによ!その態度は!待ちなさいよ!」



おしり


元スレ:http://hayabusa.open2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1400095998/

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